90) 清廉 

「三蔵、始まったよ」
「そうか」
 庭へ出て空を見上げていた悟空が、部屋で煙草を吹かす三蔵を呼んだ。
 彼はそれを灰皿へ押し付けると、悟空を追って外へ出る。
 雲一つない澄み切った夜空に、一際輝く月が下の方から徐々に影を作っていく。
 二人はただじっと空を見上げていた。
 やがて、白く明るかった満月が、暗い赤銅色に染まると、悟空が三蔵の腕を抱きしめた。
「どうした」
「……ん」
 悟空は何も言わない。 三蔵は空いた手で悟空の髪を撫でた。
「ここに居るだろ」
「……」
「ずっと、そばに居る」
「さんぞう……」
「大丈夫だ」
 禁錮から覗く額に口付ければ、ようやく悟空の顔に小さな笑みが戻った。
「うん……そ、だね」
 気が付けば、夜空に再び新しい月が生まれている。
「自然てすごいな」
「輝夜だな」
 真白の月と満天の星。
 淡い光が満開の桜を浮かび上がらせ、一片二片落ちる花弁はまるで、
「星が降ってくるみたいだ」
 三蔵の肩に乗った小さな花びらを、悟空の指が摘み上げる。
「明日も晴れるよな」
「……ああ」
 そうして悟空の笑顔につられるように、三蔵も笑った。


Happy Birthday dear GOKU


おわっとけ


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