76) 蒼空
夏の暑さが漸く陰りを見せ始めた夜。
湯殿から戻った三蔵は、先に出ていた悟空が庭に出ているのを見つけて、自分もまたそこへ足を向けた。
「何を見てるんだ」
隣へ並び、倣って空を見上げる。
「三蔵…」
悟空は視線を空へ向けたまま、
「不思議だな、夜なのに青空が見える」
呟いて、笑みを零した。
夜の帳が落ちた空は、けれどその夜の黒の中には確かに白い雲と青空が広がっていた。
「月明かりが強いからな。空が明るい」
「うん…ここは夜だけど、どこかでは陽が昇ってるんだよな」
相変わらず悟空の瞳は空に向けられたままで、三蔵はその肩を抱き寄せて、そして片眉を上げた。
「冷てぇな」
「うん?」
むき出しの肩も洗った髪もひんやりと冷えて、三蔵は舌打ちを一つして悟空を抱き上げた。
「さ、三蔵!」
「中、入るぞ」
「うん…って自分で歩くよ」
悟空の言葉に耳を貸さず部屋へ戻った三蔵は、その身体をベッドへ放り投げた。
「三蔵?」
ベッドに片膝を乗せ、悟空の両脇に手をついた三蔵はにやりと笑う。
「どこかで朝が始まってはいるが…」
その金瞳を見つめたまま、
「俺たちの夜は、これからだろう」
ゆっくりと悟空に覆い被さっていった。
おわっとけ
copyright(c)karing/Reincarnation
|