拍手お礼閑話【好き?嫌い?】

悟空: なあ、三蔵って好き嫌いある?
三蔵: あ゛あ゛
悟空: だから、好き嫌いだよ
三蔵: ねえな…
悟空: じゃあさ、俺の事は。好き?嫌い?
三蔵: 喰ってみねえと、分からねえな
悟空: え゛?ま、待って!それ、ナシ///
三蔵: 聞こえねえな


お礼が、こんなでいいのだろうか…



お礼閑話【声にして】

 道なき道を疾走する、一台のジープ。居眠りから目覚めた悟空は、珍しく助手席で眠り込んでいる三蔵を見て、ポツリと呟いた。
「なあ八戒、俺がバカでガキだから、三蔵は何も言ってくれないのかな…」
 その唐突な言葉に、八戒はバックミラー越しに、少年を見た。
「どうしたんですか?突然、そんな事」
「この頃、三蔵すごく疲れてる…顔色もあんまし良くない」
 言われて八戒は、ここ数日の三蔵が纏う、不機嫌のオーラが濃い事に気付く。
 悟空には、それが分かるんですねぇ。口には出さずに、僅かに口元を緩めた。
「でも、悟空。それは言わないのでは無くて、言う必要が無いからじゃないですか?」
 八戒の言葉に、悟空は首を傾げた。
「僕は、悟空に言われるまで、気付きませんでしたよ。機嫌が悪いなとは思っていましたけど」
「そうなのか?」
「ええ、言葉にしなくても、悟空には伝わるから。だから、何も言わないんですよ、三蔵は」
 たっぷりと含みを込めた最後の言葉が、自分を介して有髪の最高僧に向けられているなど、悟空に分かるはずも無く、前方に町影が見えた事でこの会話は終わりを見た。
「三蔵、夕食まで時間があるので、先に買出しを済ませておきたいのですが、いいですか?」
 辿り付いた宿屋の前でそう切り出した八戒に、三蔵はカードを差し出し、自分は部屋へ向かう。
「行くぞ、悟空」
「えっ、それじゃ八戒の荷物…」
「いいんですよ、今日は悟浄が持ってくれるそうですから」
 お土産を買ってきます。と、背中を押されて、悟空は三蔵の後を追った。
「ありゃ、ぜってーお前等の話を、聞いてたな」
「おや、そう言う悟浄もでしょう」
「ま、な」
 部屋での二人を想像しながら、笑い合って町へ消えた。
「さんぞ…」
 躊躇いがちに部屋へ入ると、三蔵はベッドへ身を投げ出していた。扉の前で、どうしようかと迷っていると、悟空。と、声が掛かり三蔵の元へ歩み寄った。
「三蔵、何…うわっ!」
 いきなり腕を引かれ、気が付けば悟空はすっぽりと、三蔵の懐へ納まっていた。
「三蔵!いきなり、何だよ。三蔵ってば」
「少し、黙ってろ。疲れてんだ」
 その言葉に、少し前の八戒との会話を、思い出した。
 悟空の胸が、じんわりと暖かいもので、包まれた。
「ゆっくり、寝かせろ」
「うん…おやすみ、三蔵」
 法衣の襟元を軽く握ると、胡桃色の頭に口付けが一つ、落とされた。
 まどろみが二人を包み込んで、ゆっくりと時間は流れていく。


お礼閑話【petit happiness to 悟空】

「珍し…」
 三蔵が昼寝してる。
「やっぱ、疲れてんのかな…でも」
 肩出して寝てたら、身体冷えちゃうよな。
 俺は起こさないように、上掛けをかけた。太陽に反射した金の髪が、すごくキレイだ。もっと近くで見たくて、ベッドの脇に座り込んだ。アメジストの瞳は、閉ざされてしまっているけど…
「キレイだよなぁ」
 あっなんか、ドキドキしてきた。俺は恥ずかしくなって、そこを離れようと腰を浮かせた。途端、
「ご、くう…」
「えっ?!」
 起こしちゃったのかと思って、三蔵の顔を覗きこんだけど、目を開ける気配も無い。
「もしかして…寝言?」
 それって、俺の夢見てるの?
「めちゃくちゃ、嬉しいかも」
 結局、そこから離れられなくて、床に座り込んで、ずっと三蔵の顔を見ていた。

 旅の途中の、ちっちゃな幸せ。


お礼閑話【petit happiness to 三蔵】

 誰が入ってきたのか、直ぐに分かった。
 起きるのも面倒くせえから、そのままでいた。
「疲れてんのかな」
 そんな声と一緒に、ふわりと身体が温かくなった。
 それから、顔のすぐ近くに猿の気配。
「キレイだよな」
 また、それか。呆れていると、奴が立ち上がろうとしたのが、分かった。
「ごくう…」
 呼んだのは、ほとんど無意識だった。
「めちゃくちゃ、嬉しいかも」
 その言葉を最後に、部屋の中が静かになった。
 ゆっくり目を開けてみれば、見えたのはガキくさい、悟空の寝顔。
「バカ面…」
 床で寝こける身体を引き上げて、二人で横になる。
「さんぞ…」
 その呟きは、上掛けよりも俺の中を、温かくする。
 たまには、こんなのも…
「悪かねえな」

 旅の途中の、小さな幸せ。


お礼閑話【スキンシップ】

 三蔵に頭を撫でてもらうが好き。
 ハリセンは痛いけど、いっぱい叩かれた時は、こっそり頭を撫でてくれる。八戒たちは知らないんだ。
「何、ニヤついてんだ猿」
「猿じゃねー」
 三蔵の膝の上に、向かい合う形で座ってる。八戒と悟浄は買出し、部屋には俺と三蔵だけだから、今の内に思いっきり甘えとかねえと。
「デカくなんねえな、あんなに喰ってるのに」
 そんな事を言いながら、三蔵は俺のアゴの下を擽った。
「何だよ、俺はネコじゃねえぞ」
「ああ、猿だったな」
「だーかーらー、猿でもねえって」
 揶揄い100%の言葉遊び。でも、それも好き。三蔵の飛び切り綺麗な紫暗が、俺だけを見てくれるから。
「じゃあ何だ、ガキか」
「ちがーうっ!」
「降りるか?」
 しまった。
 俺が答えに詰まってると、三蔵は口元にいぢわるな笑みを浮かべて、こっちを見てる。
 俺は悔しいから、額を三蔵の胸にぐりぐりしてやった。金鈷があるから、痛いんだ。
「痛てえな」
 そう言ってるけど、怒ってないのは声で分かる。でも、仕返しのように後頭部へ、ハリセンが飛んできた。全然痛くないやつ。
 俺はクスクス笑って、今度はほっぺたをすりすりしてみた。 
 三蔵は、やっぱり頭を撫でてくれる。
 こういう時は、呼べば返事もしてくれるんだ。
「三蔵」
「何だ」
 ほらね♪
「大好き」
 そしたら三蔵は、ちょっと固まって、それからニヤって笑って言った。
「知ってる」
 嬉しくって俺は、三蔵の鼻の頭に、チュッと音をたてて、キスをした。
 扉の外に入るに入れない、八戒と悟浄が居たりして…