不透明な恋心



それは、ほんの些細な事だった。
「あ・・・三蔵」
いつもの通り、テレビで三蔵を見る。
普通の高校生である悟空の恋人は、人気バンド『shine』のボーカルの三蔵。
『shine』は、幅広いファン層を持ち、多数のメディアで活躍している。
そのため、2人の会う時間は1ケ月で数日あるか否か。
直接では会えないため、テレビを見て三蔵に会うのが悟空の日課。
今日もいつも通りのはずだったが・・。
その表情は暗いものだった。
三蔵の周りには綺麗な女の人がいる。
テレビの共演者だという事はわかっているが、それでも他の人が三蔵の隣にいるのは・・・。
「・・・・・嫌だな。この気持ち」
―――これではまるで、三蔵の仕事に不満があるみたいだ。
自分がすべき事は、三蔵を応援する事なのに・・。
悟空は、複雑な思いのままテレビを見ていた。


その数日後・・・・・。
pipipipipipipipipipi…
悟空のもとに一件のメールが・・。
「あ・・・」
その相手を確認してみると・・。

――――――――――――――――――
今日仕事が終わったら、時間があく。
時間あるか?
――――――――――――――――――

用件のみ簡潔なメール。
―――久々に三蔵に会える!!!
その嬉しさを早く伝えたくて、悟空は返信のメールを送る。

――――――――――――――――――
うん。どこで待ってればいい?
――――――――――――――――――
《送信》

すると数分後。
pipipipipipipipi・…

――――――――――――――――――
夕方には仕事が終わるから、テレビ局で待ってろ。
八戒を迎えに行かせる。
――――――――――――――――――

悟空は了承のメールを送ると、顔が緩んだ。
「えへへ・・・」
三蔵に会うのは、本当に久しぶり。
その後、約束の時間になるのが待ち遠しくてしょうがなかった。


「あ、悟空さん。お久しぶりです」
テレビ局の近くまで行くと、見慣れた男が立っていた。
「あ、八戒さん」
いつも通りのスーツ姿で、悟空を迎える。
八戒は『shine』のマネージャー。その巧みな笑顔で、業界関係者に売り込んでいく。
また、三蔵と悟空の関係には協力的だ。

「今日は三蔵、雑誌の取材なんですよ」
悟空は、八戒に案内されるがままスタジオに入っていく。
『視線、こっちで』
中では写真撮影が行われていた。
三蔵はカメラマンの指示に従いながら、写真の撮影にのぞむ。
隣には女性の共演者がいて・・。
まるで2人は恋人同士に見えた。
「・・・・・・・・・・・・・」
「悟空さん・・」
「え・・」
撮影を見て不安になってしまった悟空に、八戒は声をかけた。
「・・・・・・・俺、外にいていいですか?」
悟空の中で、嫌な感情が生まれていた。


撮影が終わり、三蔵は八戒を呼び止める。
「お疲れ様です。三蔵」

「アイツは?」
「開口一番がそれですか?悟空さんなら外にいるはずです」
三蔵が悟空に気づいていないはずがない。
撮影を見て、不安になってしまったはずだ。
「俺は控え室で待たせるように言ったはずだが?」
恨みがましく、八戒を見る。
そんな三蔵に対し、八戒は。
「気を利かせたつもりだったんですけど・・」
八戒としては、三蔵の仕事ぶりを見せて喜ばせようとしたのだが、それが裏目に出てしまった。
「・・・ちっ」
そんな八戒を何を言っても無駄なので、三蔵は悟空のもとに向かった。
「振り回されてますね・・・」


「悟空。何やってんだ」
悟空はスタジオを出た、廊下にうずくまっていた。
「あ・・・三蔵」
顔を上げると、その表情からはハキがない。
「どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
悟空は何も話そうとしない。
その状態がしばらく続き、三蔵は苛立った。
「ちょっと来い」
「え・・・あ」
ここでは目立つので、三蔵は控え室に場所を移動させた。

「・・・で、何が不満なんだ?」
大体の察しはついてるものの、悟空が口を開かない事には話が進まない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だって」
三蔵の問いに思わず悟空は小声になってしまう。
「見るのが・・・嫌だったんだも・・・三蔵が他の人と一緒にいる・・・の」
―――仕事だってわかってる。
―――三蔵にその気が無い事も・・・。
だけど・・・・。
悟空の中にはいつも不安でいっぱいで・・。
必死に隠していた。
一言吐き出してしまえば、悟空は自然と涙があふれてきた。
「・・・っく・・」
三蔵は椅子から立ち上がり、悟空の傍に近寄る・・。
「バカだ。お前は」
「!!」
不意に悟空の視界が暗くなった。
三蔵に抱きしめられていたからだ。
「そういうことは言えよ。ちゃんと」
「・・・さ・・んぞう」
悟空もまた三蔵にしがみついていた。
そして三蔵は悟空を上に向かせ、その唇に触れた。
「ん・・・・・」
悟空の口から甘い声がもれる。
それは久しぶりの三蔵とのキス。
その甘い時間はとても長く・・。
「さ・・んぞう?」
すっかりキスに翻弄された悟空が三蔵を見つめる。
悟空を不安にさせたことを反省しつつも、悟空のヤキモチに気をよくしていた。
そのため・・・。
「/////さ・・三蔵〜・・どこさわって・・」

三蔵の手の動きに焦ってしまう。
だが三蔵は・・。
「お前が悪い・・」
「えええ〜〜」


結局、予定よりもデートの時間が遅れてしまったらしい・・・。


〜fin〜


相互リンクさせていただいている、【道しるべ】管理人文月まこと様に、「可愛くヤキモチをやく悟空」原作パラレルはお任せ。という、大雑把な無責任リクを、こんなにラブく書いていただきました。
あまりの悟空の可愛さにお持ち帰り確定ですvv
文月さまのサイトは、原作パラレルどちらも、ラブラブな三空が、読んでいてニヤけっぱなしです♪
文月さま、この度は我が侭を聞いていただいて、ありがとうございました<(_ _)>
花淋拝