寺院の庭に誇り高く咲いている、太陽の花。 太陽に向かって背伸びをするように、今日も綺麗な太陽を咲かせている。 優しい陽射しの中で
「なあ、三蔵」 「何だ。またくだらねえことだったら殴るぞ」 煙草を銜えたまま、眉間に皺を寄せて振り向く三蔵に、悟空は頬をプクゥと膨らませた。 「くだらなくなんかないもんっ!!八戒が言ってたんだから!」 聞きたくも無い人名第一位に来るであろうその名に、三蔵の眉がピクリと揺れた。 悟空にとっては、これ以上無いくらいの優しい保父であっても、三蔵にとっては、この上なく迷惑な男である。 だからと言って、今ここで「そんな悪魔みたいな男の話なんぞ聞きたくも無い」と言って見たところで、その後の報復を考えると、ここはおとなしく悟空の話を聞くのが一番の安全策だと考え、「判ったから話して見ろ」と不貞腐れてしまった悟空の頭をポンポンと撫でて続きを促した。 「あのね、あのヒマワリって、俺みたいなんだって」 「向日葵がお前?」 「うん。ヒマワリって、太陽に向かって咲いてるから、だから、俺みたいなんだって言ってた」 至極嬉しそうに話す悟空に、いまいち話の中身が見えない三蔵。 だが、八戒が悟空を『向日葵』と称した理由は解らなくも無い、とふと思う。 現に、自分もそう感じているのだから。 「太陽が大好きで、だから太陽に向かって咲いてるんだって」 ね、俺みたいでしょ?とニコリと笑って言う。 その笑顔が、其処に咲いている向日葵のようで、三蔵にはとても眩しく感じられた。 「で?」 だが、ふと感じた疑問を口にしてみるのだが、如何せん、主語もなければ何も無い問いに、悟空はただただ首を傾げるばかり。 その姿は本当に愛らしく、三蔵の中に意地悪な尻尾が生えてきた。 「でって?」 「向日葵はお前なんだろ?だったら、差し詰めその太陽ってのは、団子か饅頭か?」 とりあえず、悟空の好きな食べ物に例えてみることにした。 勿論、悟空の言っている『太陽』が誰なのか解っていての事だからたちが悪い。 「団子・・・まんじゅって!!違うもんっ!!俺が大好きな太陽は、三蔵なんだからっ!!」 ムキになって頬を膨らました姿は、本当に小動物の様で、クッと思わず笑いが零れる。 「俺は三蔵が大好きなのっ!だからずっと三蔵を見て、そんでもって、ずっと傍に居るのっ!」 悪い?と言うと同時に、三蔵の襟元を掴み、噛み付くようなキスをした。 かなり強気な悟空の発言と行動に、三蔵は暫し固まってしまう。 そんな動かない三蔵が心配になった悟空は、何度も三蔵と名を呼ぶ。 今、すげぇ告白・・・いや、宣戦布告を聞いたような気がしたが・・・ ――此処でどうして宣戦布告なんて単語が出てくるのか、三蔵の脳内細胞を一度覗いて見たい気もするが、命が惜しいので止めておこう―― 口元を押さえ固まる三蔵に、悟空は「もしかして・・・」と見上げて聞いてみる。 「あの、さ。三蔵、もしかして・・・テ・・・・!!」 言い当てられた事が悔しいのか、それを誤魔化すために悟空の唇を塞ぐ。 三蔵の腕から逃れようと抗う悟空だけれど、腰と後頭部に回された三蔵の腕から逃れることは出来なくて、息をしようとした瞬間、唇の隙間から舌が入り込んで、口腔を犯す。 散々口腔を味わった後話された唇から、名残惜しそうな、艶めいた溜息が悟空の口から零れた。 「・・・・んぁ・・・」 悟空は何とか三蔵に縋りつくことで立っていられる状態で、文句の一つでも言ってやろうと思ってキッと睨み付けるが、涙目で睨まれたところで三蔵には何の効果もなく、それどころか、三蔵が次に発した一言で、言おうとしていた文句すら頭の片隅には残らなかった。 「悟空」 今更手放す気なんか無い。お前は俺のモンだろ。声に出さず胸中におさめた言葉。 唇を離した悟空が顔を上げる前に、三蔵はその小さな身体を抱きしめた。 どうにでもなれ!と勢いでしてしまったキス。 けれど、それに応えた悟空。 三蔵の腕に抱かれた悟空がほんの少し身悶えて、そして、両手を背中へと回した。 「三蔵が、三蔵のこと、好きだから」 僅かに聞こえた悟空の告白に、三蔵は何も答えなかったけれど、抱きしめる腕に力が篭ったことで伝わったのだろう。 もう、心の奥底に閉じ込めなくてもいいのだと。 幼いと思っていた、思い込んでいたのは、自分だけだったのだ、と。 好きだから大切にしたい。 愛しいから、ずっと傍に居たい。 そう想う心は、二人、同じだった。 「ずっとずっと、離れてなんかやらないんだから」 ギュッと三蔵に抱きつき告白する悟空。 「離してやるつもりなんか、ねぇよ」 甘い告白ではないけれど、それは、三蔵の精一杯の言葉。 向日葵と太陽 二つの絆は決して切れないもの。 いつでも明るく照らしてくれる太陽に、真っ直ぐ向かって伸びていく向日葵。 それはいつまでも変わらなく、続いていく。 (C)FASCINATION/志桜紫乃魅 FASCINATION紫乃魅様宅の50000hit記念、freenovel も、可愛い悟空に顔が緩みっぱなしですvv何気に照れる三蔵サマも花淋のツボでございます 紫乃魅様、これからのご活躍をお祈りいたします 花淋拝 |