君の心と僕の心
窓から差し込む光が眩しくて目が覚めた。
「・・・ん、まぶし・・・」
包まれた布団からなんとか腕を出し、その光を遮ると、ようやく重い瞼を開けることが出来た。
「・・・っ・・・さん、ぞ?」
全身がだるくて起き上がる気力すら回復していない。 だけれど隣に居たはずの三蔵が居なくて、鈍い痛みを堪えながら、半身を起こす。
消えている温もりが寂しくて、部屋を見渡すと、サイドテーブルの上に乗っている灰皿に、消したばかりの煙草が一本あることに気づいた。 今日は休みだと言っていた三蔵。だけれど此処には居ない三蔵。 急に寂しくなって、無意識のうちにシーツをギュッと掴んでいた。
「どこ、行っちゃったんだろ」
自分を置いて何処へも行かないと、解ってはいても、やはりこんな日の朝は側に居て欲しくて。 一人残された部屋が寂しくて、何故か泣きたい気持ちになってくる。
じわっと瞼の裏が熱くなって視界が歪む。
「・・・ふえっ・・・・・さん、ぞ・・・」
一人にしないで。 三蔵の匂いだけを置いたままにして、その姿が見えないだけで寂しくなるなんて、自分でも情けないと思う。 だけれどどんなに我慢しても、こんな朝は、目が覚めるまで側に居て欲しい。
悟空の大きな瞳からポロリと一粒零れた滴が頬を伝った時、聞きたかった声がドアが開くと同時に耳に届いた。
「なに泣いてやがんだ」
涙で潤んだまま顔を上げると、そこには側にいて欲しいと思っていた人が立っていて、溜まった涙がポロポロと零れ落ちていった。
「っ・・・ふえっ・・・おきた・・・・・さん・・・がいなく・・・さみし・・・った・・・」
目が覚めてみたら三蔵が居なくて寂しかったのだと泣きじゃくる悟空を、持っていたコップをテーブルに置いて、その体ごと抱きしめてやった。
昼までは起きないと思ったから、水を取りに行っていただけ。それもほんの数分部屋を抜けただけなのに・・・ 水をコップに入れてるその数分の間に聞こえて来た声が、寂しそうで。 けれど今までも、互いの熱を貪った日の朝に、何度も似たようなことはなんどかあった。その時はその泣きそうな声に目を覚ましてみれば、夢の中で名前を呼んでいるだけだったから・・・・・。だからまさか起きているだなんて思ってもみなかった。
「俺は此処に居るだろ」 「・・・ん・・・」 「俺はお前を置いて何処にも行かない」 「・・・うん・・・」 「だから泣くな。悟空」 「うん」
落ち着かせるようにゆっくりと背中を撫でながら、大地色の髪の毛にそっとキスをした。
大事なお前を置いてなんて、何処にも行けない・・・と。
「三蔵、大好き」
両手を三蔵の背中に回して、此処に居るのだと確かめるようにして、悟空が云う。
「ああ」
お前は特別だと、悟空に言い聞かせるように、すんなりと何の抵抗もなく出てきた言葉。
「俺も、だ」
自覚なく出ていた言葉に驚いたのは、他でもない、己自身。 だけれど今はこの小さな身体を包み込んでやりたい。 お前は何時だって俺の側に居るのだと、己に言い聞かせるようにして
互いの温もりを感じていた。
FIN
write by 紫乃魅
紫乃魅さまのサイト2周年&4万hit記念free小説
朝の一幕o(≧▽≦)o
甘い空気と、お互いが大切で愛しくて…それらが読んでる
私たちにビシビシ伝わるお話
花淋のツボを見事直撃…速攻で頂きました
紫乃魅さま、今後のますますのご活躍を心よりお祈りいたします。
花淋拝
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