アイツの無茶は今に始まった事じゃない。
 
 バカで単純で食い意地が張って…真っ直ぐで、泣き虫で、甘えたがりで、すこぶる寂しがりや。

 一途で。

 誰よりも、何よりも―――純粋…

 思えば最初から振り回されっぱなしなのは、俺の方だ。
 いい加減にしてくれ。



「呆れてモノも言えねえな…」
 吐き捨てて部屋を出た。
 安っぽい寝台に身を投げ出して、煙草を咥えた。が、点かない火に苛立ってそれを握り潰す。
「くそったれ!」
 悪態は誰に対してなのか。

 眼を閉じても、声は聞こえない。
 痛みを耐え、その上呼べない辛さまで自分から背負う、どうしようもない猿。
「だからバカだってんだ」
 素直に縋ればいい。
 お前が望むから傍に居る。
 そんな大義名分が、俺にはまだ必要だ。だから、
「早く呼べ、バカ猿」



――――さ… ぞ、



 漸く聞こえた声は、か細く儚い。
 眠りながら尚、痛みと熱に苦しめられて、悟空は汗を流して喘いでいた。
「お前は…どれだけ俺に心配をかければ、気が済むんだ」
 汗を拭うその手が心地いいのか、顰めた眉根が僅かに緩む。
「お前は何も、解っちゃいねえ…」

 お前のちっぽけな我が侭を聞いてやる甲斐性くらい、俺にだってあるんだよ。