― Nature ―
空の章

#01
「何、上ばっか見てんだ」
 洗濯カゴを抱えたまま、庭で空を眺めている悟空に、三蔵は後ろから声をかけ隣へ並んだ。
「三蔵。 空がさ銀色に光って見えねえ?」 悟空の視線は空へ向けられたままだ。
 三蔵は取り出した煙草を咥え、煙を吐き出しながら、
「雪雲だな」 と、呟いた。
「雪雲……てことは、雪降んの?」
 パァっと明るくなった悟空の表情を眺めながら三蔵は思う。

―――雪は、もう真白の恐怖ではないのだと。

「雪かぁ〜 な、積もるかな」
「どうだかな」
 吐き出した紫煙が昇っていく。 くるりと向きを変えて、三蔵は部屋へ歩き出した。
「中、入るぞ」
「うん。 今夜は寒そうだから、鍋でもしようか」
 献立を並べだした悟空は、家の中へ入る前にもう一度振り返って、空を見上げた。
 くふんと、一つ笑いをこぼす。

―――雪はもう、怖くない。

 そして、悟空にはどうしても挑戦してみたい事があったのだ。 もちろん、三蔵には絶対に内緒で。
「悟浄、誘ってみようかな」
 小さくこぼして、ようやく部屋へ入る。 キッチンで夕飯の食材を調べながら、また一つ笑う。
 
 三蔵は知らない。
 キッチンの戸棚の奥に、夏の間未開封のままだったかき氷シロップが一本ある事を。


真っ白なふわふわの雪に、真っ赤なイチゴシロップ。
一度は試してみたいと思いませんか?(私は思います)
copyright(c)karing/Reincarnation

window close