05) 酔夢 

 ある夜、宿での四人。
 
「ひゃー。気持ちよかった〜」
「本当に、いいお湯でしたね」
 風呂上りの悟空と八戒。
 先に上がっていた悟浄の前に、透明な液体の入ったグラス。
「あっ、悟浄、それちょーだい」
「えっあー、お前…」
 あっという間に中身を飲み干した悟空。

「何、これ…」
「悟浄、何ですかそれ」
「ウォッカだよ…」
 頭を抱える悟浄と、天を仰ぐ八戒。
 彼らの目の前で、悟空の顔がポンと音をたてて、赤く変わる。

「うにゃ〜ん、ごじょー。もっと、ちょーだい」
「ご、悟空?おい…」
「悟空、ベッドへ行きましょう。お水を持ってきますから」
「じゃーはっかいと、いっしょにねるぅ」
「ははは、悟空…困りましたね」

「おい。何をギャーギャーして…」
「あー、さんぞーだー」
 全力で抱きつく悟空に、ハリセンが一発。
「何、湧いてんだ。猿」
「いたい…ううぅ…さんぞー、おれのこと…きらいなの…おれのこと、あいしてないの…」
「あ゙あ゙、てめっ酔っ払ってんのか」
 泣き出す悟空を尻目に、見事なコンビプレーで、部屋を逃げ出す悟浄と八戒。

「ひっく…さんぞーは…おれのこ…ふえ…きらいに…なったの…」
「誰が言った、そんなくだらねー事」
「だって…じゃあ…すきって、いって…」
「な…」
「やっぱり、きらいなんだ〜ふえ〜ん」
「だから、言ってねーって」
 泣き続ける悟空を抱き上げると、ベッドへ移った。

好きだ
「ほんと?」
「ああ」
「もっかい、いって」
好きだ
「もっと…」
愛してる
 交互に贈られる、キスと囁きに悟空の顔が、花の様に綻ぶ。
 三蔵は、そのまま唇を滑らせ、悟空の首すじを下りていく。

「おい…」
 覗き込めば、安らかな悟空の寝顔。

「悟浄、明日気をつけた方が、いいですよ」
「ああ、何で?結果的には、甘い夜を提供してやったんだぜ」
「いいえ、あの調子でいくと、三蔵はおあずけです」
「そうか〜」


 翌朝 ――――
「おっはよー」
「おはようございます」
「おーっす」
「……」
 ここまでは、いつもの風景。

「なあ、そういえば俺、昨日いつの間に、寝ちゃったの?」
 ピクッ…
 ガタッ…
 そして、発砲。
「おわっ」
「あーやっぱり」
「えっえっ、どうしたの?俺、何か言った?」

「悟空、本当に何も憶えていないんですか?」
「えっ…と、ちょっとだけ」
 それはとても幸せな一言。

「くそー、いい加減にしろよ、鬼畜坊主!」
「煩せー死ね!」

「あーあ、終わりそうもないですね」
「うん…」
 ごめんな、悟浄。


おわっとけ


copyright(c)karing/Reincarnation


back window close next

back : 【あんずいろapricot×color】
button : 【M-SPIRAL】