60) 再会 

あんなに厳しかった陽射しが、今日は遠くに見える。
 頬を撫でる風が、少しだけ夏を忘れた気がした。

「何をそんなに熱心に見てるんですか?悟空」
 声と共に横に並んだ青年は、少年に倣って翡翠の瞳を空へ向けた。
「うん?あの雲、翼に見えねえ?」
「翼?」
「そう。でっかい鳥の翼」
 透き通った水色に、優美な曲線の筋雲が幾重も連なって、真白の翼を形作る。
「そうですねえ」
「鳥になったら、何処へでも飛んでいるけるよな」
 呟いた声が、どこか寂しさを含んでいるようで、八戒は眉根を寄せた。
「ずっとさ、思ってたんだ…翼があったら、何処に居たって三蔵のトコに戻って来られるのに。って」
「悟空…」
「離れ離れが、こんなに辛いなんて思わなかった…」
 以前なら、どんなに離れている時間が長くても、自分と三蔵は必ず共に行くのだと思えた。
 それが今は、一秒でも離れてしまったら、永遠の別れになってしまいそうで、悟空の小さな胸をきりきりと痛めつけていた。
「鳥にならなくても、この空はずっと繋がっていますよ」
「え?」
 言葉の意味が解らずに、悟空は八戒を見上げ首を傾げた。
「空は何処までも続いているんです。離れていても、三蔵と悟空はこの空で繋がってますよ。今もね」
 指差す先に佇む、そこに金色の光。
「さん、ぞ…」
 さあ、行って。
 押された背中。ゆっくりと出した最初の一歩。
 次の瞬間、走り出す後姿に笑みを送り、そして八戒は少年とは反対の方角へ歩き出した。

 少年を抱(いだ)く太陽の輝きは、自分には少し眩しすぎる。
「先に戻って、食事の準備をしましょう」
 やがて訪れる、久しぶりの日常を思って、八戒はふっと口元を緩めた。


おわっとけ


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区切りなのに日記からの使い回し(´□`)
ホントに一日も早く二人が再会できますように…
花淋拝

   


使用素材 : photo【tricot】