58) 休日 

「休…暇?」
「ああ、三日間だ」
 いつもより早く帰宅した恋人の一言に、一度は止まったはずの涙が頬を伝った。

「三蔵ーっ!馬がいる、乗れるかな」
 はしゃぐ声に紫暗を細めて、ゆっくりと歩みを進める。
 その周りを仔犬のように飛び回る悟空は、終着点に三蔵の腕を選んだようだ。
「何だ」
「ありがとう三蔵」
 花が綻ぶような笑顔に、三蔵も自然と笑みを浮かべる。
「次は何処へ行くんだ」
 片手で器用に煙草を咥えると一息吸い込んだ。
「ん…でも、三蔵疲れてない?」
 伺うような琥珀の瞳に、
「気にしなくていい―――ずっと…一人にさせてた、からな」
 その言葉に、胸が一杯になった。
 緩んでしまいそうな涙腺を叱咤して、悟空は殊更輝く笑顔を浮かべ、
「アイス!ここのアイス食べよう」
 ついと腕を引っ張った。
「やっぱり食い気が先か」
 それでも笑顔のまま、悟空に連れらて歩き出す。
「今日は一日、たくさん遊んで―――明日は」
 言いかけて、悟空の声が止まった。
「明日は、何だ」
 聞き返したのは何となくだ。
 それから悟空が話し出すまでの間は、短かったのか長かったのか…
「明日は―――部屋で…三蔵と一緒に、居たい」
 真っ赤な顔で、けれど真っ直ぐな瞳で告げられた。

 遠くで馬の嘶(いなな)きが聞こえる。
 悟空の視界が不意に閉ざされ、口唇にしっとりとした温もり。
「付き合って、やるよ」
 囁きが、草原の風に揺れた。


おわっとけ


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まだ、続くのだろうか??
とりあえず皆様、良い連休をvv
花淋拝

   


使用素材 : photo【tricot】