51) 内緒 

 俺だけの、ナイショ…

 寺院に居る頃から、俺が三蔵より早く目が覚めるなんて事は、本当に珍しくて。
 でも、そういう時って、実は誰にもナイショにしている事がある。

 布団とは違う温もり。
 俺はゆっくりと目を開けた。目の前には三蔵。大好きな紫暗の瞳が隠れてるのは、ちょっと残念だけど、三蔵は寝顔もやっぱり綺麗。
 顔を縁取る金糸、額のチャクラは三蔵だけの証。
 そんな特別な人の、腕の中なんて…
「自惚れちゃうよ?俺」
 小さな囁きに、三蔵の睫が震えてゆっくりと紫暗が覗く。
「さんぞ…?」
 それが普段とは違う。フワフワと浮いてる様な、上手く言えないんだけどね。
「さんぞう?」
 呼びかけに、三蔵はモゾモゾと頭を動かして、俺の胸元に潜り込む。

 それは俺だけが知ってる、疲れている時の三蔵のクセ。
「三蔵、眠い?」
「…眠い」
「うん、いいよ。俺、ずっとこうしてるから」
「……」
 この時の三蔵は、本当に素直に自分の気持ちを言葉にする。
 寝顔は無防備で、でも凄く穏やか。安心してるんだ。

「俺、嬉しいんだよ三蔵」
 俺だけに見せてくれる、そんな姿。
 俺は三蔵が傍に居るだけで安心して、とても嬉しくて楽しくて、凄く幸せで…
 だから、三蔵にも俺と一緒に居る事を、そんな風に感じてほしいって、ずっと思ってた。

「居るから…ずっと、三蔵の傍に居るから」
「……ん」
 微かに三蔵の口元が上がったように見えたのは、俺の気の所為かな。
 いつも助けられて、守られてばかりの俺が、たった一つ出来る「三蔵の眠りを守る」事

 誰あろう三蔵に誓うから。

「傍に居るよ…」
 三蔵の為では無く、俺自身の為に。

「三蔵も、そんな風に思ってくれると、嬉しいんだけどね」
 思わず口をついて出てしまった言葉だったのに、
「ぅん…」
 腕の中の三蔵が小さく頷いた。



おわっとけ


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何となく空三風。
たまに、甘える最高僧サマも、アリって事で…
花淋拝

   

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