38) 安穏 

「何て言うか…まったりですねぇ」
「いいんでねえの、たまには」
「そうですねぇ、最近のお客さん『質より量』って感じで、数ばっかり多かったですから」
 流れる雲を見ながら、のんびりと会話を続けていると、どこからか風に乗って拙い旋律が聞こえてきた。
「悟空ですね」
「草笛だな」
 身を起こした悟浄の左斜め、胡桃色の頭が時折揺れながら、『ぴぃぷぅ』と奏でるそれに、八戒と悟浄は同時に柔らかい笑みを浮かべた。
「ま、昼寝のBGMくらいにはなるか」
 そう言って悟浄は、再びごろりと横になる。
 すると八戒までも、珍しく悟浄に付き合う形で、隣に身を横たえた。目を丸くして自分を見る彼に、
「平和な時は満喫しなきゃですよ」
 悪戯っぽく呟けば、
「だな」
 悟浄もまたくすりと笑い、揃って目を閉じた。

 時折聞こえるのは、風と草笛の二重奏。強くない日差しに、睡魔はあっという間に訪れた。


「だからって、寝覚めにこれを見せ付けられるとねぇ」
「だよなぁ」
 ひと時の惰眠の後、静かな辺りを見渡せば目に飛び込んできたのは、養い子を腕に抱きその頭に顔を埋めて眠る最高僧の姿。
 抱かれている少年もそれは安らかな寝顔を晒し、すっかり毒気を抜かれた二人は、結局何をするとも無く、のんびりと流れる雲を追いかけていた。

「先に見せ付けてたのは、てめぇらだろ」
 そんな、最高僧の呟きを、風がさらっていった。



おわっとけ





花淋初の浄八か!?と思わせといて、やっぱり三空。でも、6:4くらいで浄八?
花淋拝

   


使用素材 : photo【tricot】